悪縁・貧乏
枡添智也と
すっぱり縁が切れますように。
山井今日子
[大阪市 圓珠庵 鎌八幡神社]
悪縁と貧乏(との縁切り)を同列に述べるのも、同じく悪縁と枡添智也氏(との縁切り)を同列に述べるのも、論旨から言うと正しくない。
言うまでもなく、貧乏や枡添智也との悪縁を切りたいというのが、正しい論旨である。
が、そんなことは小さな話である。
要するに、枡添氏は貧乏と並んで、今日子さんから嫌われているのだ。
ということは、枡添氏はそうとうな貧乏で、経済的に今日子さんを満足させてあげることができなかったのだろうか。
それとも、貧乏は今日子さんサイドの問題であって、どうにかしたいと思う貧乏と同じくらい、今日子さんは枡添氏も嫌いなのだろうか。
いずれにせよ、簡潔な願文に、今日子さんの毅然たる意思が表明されている。
ところで、この鎌八幡神社、御察しの通り、「鎌」に因んで縁切りにご利益があるとされる神社である。
オリジナルの小絵馬の表にも、切れ味鋭そうな鎌が二丁、描かれている。
小さいながら大阪の中心部にあるという立地もあってか、かなりの願掛け人を集めているようだ。
で、それはそれで商売ご繁盛で結構なのだが、筆者のような研究者(?)をいたく嫌っているようで、写真撮影一切禁止、発見次第、撮影機材没収と強硬な張り紙があるのである。
撮影機材などという大仰なものを持ち込む者がいるとも思えないし、そんなに頑なにならずとも、とも思うが、仕方ない訳で、本試料も筆者が手書きでメモってきた次第である。
境内はひどい薮蚊で、多数の蚊取り線香が焚いてあるが、まったく効果なし。
あちこち刺されて、ギブアップ、ほうほうの体で退散した次第である。
こんな環境でも熱心に絵馬を奉納する人が引きも切らないようであるから、世の中、よほど悪縁が蔓延しているのだなあというのが、まあもうひとつの考証の成果ではある。
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