平成9年
八白本厄・方位南
本命的殺方位
宅神凶
玄関 西南 ウラキモン
女キモン
トイレ 北東 表キモン
男キモン
和歌山市××××
中西真里
中西佳代子
[和歌山市 紀州東照宮]
陰陽道などというものは、信奉する人にとってはこれ以上ない重要なものであるが、そうでない、たとえば筆者のような者には、ほんとうに何のことだか判らない。
ある年に生まれたある人には、ある年の、ある方角が縁起が悪いとかどうとか言うらしいのであるが、筆者などには、ただもう、は?へ?というしかないものである。
だから、この絵馬に書かれた願文も、何のことやらさっぱり不明だ。
うまく表現できていない危惧があるので説明しておくと、「女キモン」「男キモン」というのは、それぞれ「ウラキモン」「表キモン」に並列的に記載してある。
で、そもそも、これは願文なのか?何かを願っているのか?
奉納されたのが何年か判らないが、ともかく平成9年という年に、どの方角が良いとか悪いとか、家の玄関の方角がどうだこうだと書いてあるのだろう。
だが、それだけである。
だから、どうなのだ?と言わざるを得ない。
ちなみに、ちょっとネット情報を調べてみると、陰陽道では家の北東に玄関や水まわり設備を造るなと教えているらしいが、この願文もどきでは、「玄関 西南」となっているから、それで良いのであろう。
また、宅神というのは「やかつかみ」と読み、家の守護神。で、それが凶だと……ナンジャラホイ?
いったい何が言いたいのか?いや、ダジャレではなく。
紀州東照宮の祭神・徳川家康公も、さぞ困惑なさっているに違いない。
さらに、そういう願文の内容以上に訳が判らない、というか、むしろ恐ろしいのは願主が連名になっていることだ。
おそらく親子、母と娘であろう。姉妹かも知れないが。
母と娘が、そろってこういうものに凝っている家庭、その家のオトーサンの心痛、気苦労たるや、いかばかりであろう。姉妹であっても可愛い娘たちがこういうものに…と、その無念さが偲ばれる。
まことに同情に堪えないのである。