連署に恵まれ、子宝を少しでも
早くさずかりますように!
連署とは、結婚の他、意味はない。
優妻にめぐまれるように!
河内 博信
[東広島市 御建神社]
「連署」というのは、結婚を意味するのだそうである。
…知らなかった。
あわてて広辞苑を繰ってみたが、
「同一の書面に二人以上が並べて署名すること。また、その署名」
という、ごく当たり前の意味と、あとは鎌倉幕府の職名だとかいう意味しか載ってはいない。
サインペンではあるが、墨痕鮮やかといった印象の力強い字で、二度もはっきりと書いてあるから、このオトーサンの書き間違いということもなさそうである。
いや、結婚したいというのだからオトーサンなはずはないが、どうもオトーサン臭いのである、この人は。
何だか、ずいぶんエラソウナ物言いだし…。
それはともかく、天下の広辞苑も「連署」に「結婚」の意味を認めていない。
するとこれは、何か特殊な業界あるいは学術界などの専門用語ででもあるのかと、しばらく頭をひねった末、ようやく合点が行った。
要するに、婚姻届にふたりで名前を書きたい、連署したいと、そう言うのであろう。
何とももったいぶった言い方をするものである。
というより、理屈に飛躍があるような気が、しなくもない。
優妻という言葉も、まあ、おおよその意味は判るのであるが、これだって広辞苑に載っちゃいない。
なにも広辞苑が万能だと主張する気はないけれども…。
いや、そういうことより、この人の場合、優妻の「優」は優しいという意味ではなく、子づくりの相手として優秀であるという意味の優、つまり女性を子づくりの道具としか見ていないような雰囲気も漂っていて、何だかなあという感じがするのである。あくまで邪推だが。
まあ、それにしても、結婚への思いというものだけはヒシヒシと伝わってくる願文である。
子宝を少しでも早く、授かりたい。
これは、早く跡継ぎをつくっておかないと困るほど、巨額の財産があるのか、あるいは絶やすことの許されない由緒ある家柄であるのかも知れない。
持てる者の悩みとはいえ、ご当人にはさぞ辛いことであろう。
一刻も早い子づくり、どうか頑張っていただきたい。
しかし、こんなエラソウナ態度で、相手は見つかるのだろうか。
心配である。