
私にとって本当に良きパートナーと出逢え、
良縁に恵まれ、結婚でき、幸せな人生が
歩めますように。早く幸せになれますように。
群馬県太田市○町××××
群馬県太田市▽▽町××-×× A〇〇〇
島谷祐二 19××.8.××生
が、全ての女性と縁が切れ、
上手くいきませんように。心願。
2012.8.10 女 辰年 大阪市 横井里美
[大阪市 生玉神社摂社 鴫野神社]
最初のほうから読み始め、これはどこにでもあるような、微笑ましい良縁祈願の絵馬だと思ってしまった。
ところがどっこい、今どき、縁切り・縁結びの神社に奉納される願掛け絵馬が、そんな平和なものであるはずがなかった。
しかも、ここは名にし負う大阪の、どちらかと言えば縁切りで売り出す神社なのである。
長年こうした研究に取り組んでいる者として、きわめて迂闊であった。
似たような住所が並列で二つ書いてあるので、その点は若干の考察が必要ではあろうが、この絵馬の主たる祈願の対象はこの島谷クンという男性である。
そう、願主自身の幸せを願う前半部分は付け足し、とまでは行かなくても願いの本筋ではないのだ。
願いの筋はズバリ、島谷クンとすべての女性との縁切り、つまりは島谷クンの不幸である。
筆者は経験上、そのように読む。そう読まざるを得ない。
二つ書いてある住所は、どちらかが島谷クンの勤務先か何かではないかと考えたが、どちらも個人宅を思わせるものである。
また、片方は里美さんの住所かとも思えたが、里美さんは願主として「大阪市」と明言しているから、それはない。
この絵馬が奉納された時期に、島谷クンは引っ越したのかも知れない。
住所の表記の事情や経緯がどうであれ、仮に住所も姓名も実在のものであるとすると、これはかなり深刻である。
実在の人物の姓名と住所を書いて、ここまで強烈な願いをしているのである。
島谷クンは、里美さんに対して、よほど人間として許しがたい阿漕な振る舞い、悪辣非道な行為を働いたのであろうか。
少なくとも、里美さんはそのように確信しているように思える。
と言っても、犯罪に類するような行為なら、「全ての女性と縁が切れ」などという程度の願文では済まないだろう。
さりながら、里美さんが、単に島谷クンからフラレタというだけなら、ここまで強い調子の願いは立てないだろう。
大阪と群馬県という遠隔地に暮らす御二人でもあり、この願文だけでは真相究明は不可能である。言い訳めいているが。
島谷クンと里美さん、ここは一番、ご両所ともに自省ならびに自制をしていただくことが、今後の人生のために良いのではないかと思われる。