株式会社
○○○○○
人事部に入社
できますように。
平成○○年○月○○日
卓也
[三島市 三島大社]
会社は、関西系で、新興の電機・雑貨メーカーというか、酒・食品から日用雑貨、宝石類まで扱う、ちょっとつかみどころのない商社兼メーカーである。
同じ発音の名前を持つ有名私大もある、と言えば、わかってしまうだろうが…。
まあ、そういう企業に就職したいというのは、卓也クンの熱心なシューカツ、企業研究の結論であって、他人がとやかく言うことではない。
しかし、だ。
「人事部に入社」したいというのは、何なのだろうか?
どこかの会社に入って、その段階で自分は人事部に配属希望であるというのは理解できる。
あるいは、自分は技術者として生きて行きたいと考えており、あるメーカーの研究開発部に勤務したい、という希望もわかる。
しかし、この願文の文面から言っても、奉納の期日から言っても、卓也クンはまだその株式会社○○○○○に就職は決まっていないようである。
で、人事部希望だと…。
無論、人事の仕事も重要だし、自分はその分野でエキスパートになりたいのだという希望もあり得よう。
ならば、別に株式会社○○○○○でなくても良いわけだ。
というより、この株式会社○○○○○の微妙な企業活動の内容からすれば、もっと他の企業でそれを願っても良さそうなものだと思う。
いや、決して株式会社○○○○○を揶揄するつもりはないのであるが。
それとも卓也クンは、この株式会社○○○○○の近年の躍進ぶりは、人事部門の功績によるものだといった情報を得ているのだろうか。
あるいは、自分はもとより技術系ではないし、かと言って営業も嫌だし、人事あたりなら人を動かして面白そうだから、などと安直に考えたのか。
これはまったくの偏見であるが、どうも卓也クンの願いの理由は、案外下らないことのように思えるのである。
株式会社○○○○○人事部に好きな彼女がいるとか、きれいなオネエサンがいるとか。
受講者諸賢の感想はいかがであろう。