[願いごと]
幸福に結婚できます
ように。両家が幸福で
ありますように。幸福。
菅沢由美
[石巻市 羽黒山鳥屋神社]
[願いごと]というのは、最初から絵馬に印刷してある文字である。
もちろん、自分や家族の幸福を願わない人はいない。
ましてや、これから結婚するというのであるから、今後の幸福を祈願するのは当然のことである。
しかし、わずか3行、30文字足らずの願文に「幸福」が3つ。
しかも、最後のみっつめは単に「幸福。」と念押しのように書いてある。
願文の行替えは、原文通りである。
言っちゃあ何だが、愚劣な、どこかの議会議員選挙の候補者名の連呼でもあるまいに、そこまでくどいと、神様のほうでも嫌気が差すのではないかと、つい心配になってしまう。
この最後の「幸福」が、バカデカイ文字とか、飾り文字にでもなっていれば、まだ救われるが、淡々とした、ほかと同じような書体であるから、何か不気味な感じさえしてくる。
この異常なまでの「幸福」への拘りよう、由美さんは、よほどこれまで幸福とは縁遠い、不幸だらけの人生を送って来たのであろうか。
まあ、ちょっと失礼に当たるかも知れないが、次のような人もいるのであるから、そう悲観したものでもないよと慰めておこう。
幸せの意
味がわかる
ようになりま
すように。
兵庫県伊丹市
松野康三
[和歌山市 紀州東照宮]