良い犬になります。
正一
［山口市 今八幡宮］
願文の他には、筆と墨で大きな●の周囲に、小さな●が４つ書いてある。かなり輪郭が乱れてはいるが、そういうつもりで描いたものであろう。
だから最初は、何かの紋か、符号のようにも思えたのだ。
それで、いきなり、
「良い犬になります」
などというものだから、警察関係のたれ込み屋さんか、諜報関係業務従事者が、年頭にあたって仕事に対する決意を語ったものかと思ってしまった。
まさか、そんな訳はない。
絵馬の裏（表か？）を見て、「ははあ、なるほどね」と、思わずニッコリ、ほのぼの感にひたらせてもらった次第である。
かんでごめんなさい。
［山口市 今八幡宮］
だが、この絵馬、もちろん犬が書いたはずはないだろう。
当犬（当人）に代わって、飼い主か誰かが代筆し、奉納したものに違いない（こういう場合も代筆と言うのだろうか）。
そうすると、この正一なる願主の名前は何であろうか？
付け加えると、この「正一」は本講座の原則に反して、原文のままである。
もし正一という名前の犬だとしたら、非常に珍しいのだが。
それとも、これは飼い主の名前で、単に名前まで気が回らなかっただけのことか？
